高い水準の英語力やテクノロジーの知見を持つ人材を最短で育てたい
――橋本学長と大渕さんにお話を伺います。御社についてまずは教えてください。
**橋本学長:**弊社はITとデジタル技術を活用し、ビジネス、テクノロジー、およびエンジニアリング分野のサービスとソリューションで、お客さまのビジネス変革を支援しています。インドを代表する複合企業体のタタ・グループの一員であるタタコンサルタンシーサービシズ(TCS)と三菱商事の合弁会社です。日本ではまだまだ知名度は低いものの、世界的にはトップクラスの会社で、世界では約51万人の社員がいます。日本企業に対し、長年にわたり蓄積してきた、TCSのグローバルにおけるさまざまな業界の知見やベストプラクティスと日本企業の商慣習や強みへの理解を、ハイブリッドに提供しています。
広く言うとITサービス会社なので、売っているのは「人」という前提があります。特に英語に関して言うと、弊社は日本で有数の英語力が求められる会社です。日々の会議の多くは英語で行なわれています。
――今回、英語研修としてSTRAILを導入しようと思われたのはなぜでしょうか?
**橋本学長:**私たちは、社員の強い学習意欲に応えられる密度の濃い教育を提供していく目的で、2020年6月に「TCS Japan Academy」を設立しました。英語力やテクノロジーに関する知見を最短で高い水準に到達させるための支援を行なうことが趣旨です。
私たちは、「英語ができる人」を「英語を使って、ITの最先端の知見をもっている世界の人員51万人とコラボレーションして日本のお客様に価値を提供できる人」と定義しています。端的に言えば、「英語でひとりで会議をリードできる」こと。TOEICだと最低900点以上に相当します。そして、日本のビジネスパーソンの多くを占める「英語の会議になんとか参加だけできる」レベルからそのレベルに到達するためには、学習時間として1,000時間程度が必要だと見立てました。
**大渕さん:**STRAILをパートナーに選んだのは、われわれと同じような考えをおもちだという印象を受けたからです。要するに、1,000時間の学習をやらないといけないとなったときに、レッスンですべて埋めるのは無理ですよね。毎日3時間学習したとして、丸一年かかる計算ですので。そうなると自習期間が大事で、きちんと計画を立てて背中を押してくれる、またうまく進んでいないときは適切にガイドしてくれる、というコーチング的な役割が必要になってきます。
コーチングと学習サポートで十分に成果が出ていること、言語習得の科学「第二言語習得研究」の知見に基づいた科学的な学習ができること、そして専門性が高いコンサルタントが豊富にそろっていることから、非常に質の高いコーチングをしていただけそうだと感じたのがSTRAILでした。STRAILならわれわれの考えを実現してくれると感じ、お願いすることにしました。
相手の英語を本当に理解できているのか自信がなかった
――ここから、実際に受講されたS.Y.さんと石原コンサルタントにお伺いします。まずS.Y.さんは、主にどのようなお仕事をなさっていますか?
**S.Y.さん:**大手保険会社さま向けのプロジェクトのメンバーとして、現在は、主に、お客さまの国内外拠点の営業成績を向上させるためのデータ可視化業務を行っています。
一昨年くらいまで仕事でインドにいて、強制的に英語を使う環境にいました。高校時代に、今後はインドが世界的に大きく発展すると担任の先生から言われ、大学時代にヒンディー語を履修していたため、インド滞在に興味がありました。仕事でその機会に恵まれましたが、インドは楽しい場所でしたね。
これからグローバルに働く際には、インド人はどの分野にも関わってきます。そういうときに、英語とヒンディー語でよいコミュニケーションをとって、彼らと仕事を円滑に進めていきたいと思っていました。
――受講前、英語に関して何か困ったことがありましたか?
**S.Y.さん:**なんとなくわかる程度の英語力しかないなと感じていました。たとえば英語を使って電話で連絡する際に、言われたことを自分にわかる言葉で言い換えて合っているかどうか確認しないと、自信をもって理解しているとは言えない状態だったのです。
――S.Y.さんはSTRAILでの90日間のコンサルティングを経て、TOEIC®IP オンラインテストのスコア930点を見事達成されました。おめでとうございます。TOEICでスコアアップを達成できたときのご感想をお聞かせください。
**S.Y.さん:**びっくりしました。英語を勉強した期間で、ここが伸びたと自覚できるところもあれば、前と変わっていないところもある、というふたつがあると思うのですが、前もこんなのだったのではないかという気持ちが大きいままにスコアアップしたので、驚きました。
そのあと振り返ってみると、リスニングが聞きやすくなっていたりとか、知らず知らずのうちに成長できていたのだなと実感しました。
コンサルタントが特定した課題と、提示したアプローチ
――石原コンサルタントに伺います。S.Y.さんは、受講当初どのような課題を抱えていらっしゃいましたか?
**石原コンサルタント:**事前に受験いただいたIPテストの結果を見ても、語彙やリーディング、リスニングの基本的なスキルには問題なかったのですが、誤りの傾向を細かく見ていくと、長文の処理に課題が見られました。文法の知識を問う問題でも、短文で羅列されている問題と比べて正答率が落ちるところがありましたね。
さらに、ネイティブが言いやすくするために発音を変化させる「音声変化」のうち、短く読まれる弱形の発音が不十分だったため、聞き取る際にも弱形にやや負荷がかかっているように見えました。弱形が発音できるようになることで、よりスムーズに音読ができ、リーディングスピードを上げていくことができるという伸びしろを見つけました。
――それぞれの課題について、どのようにアプローチしましたか?
石原コンサルタント:長文の処理を適切に行なっていただくためにお伝えしたのは、接続詞や副詞といったストーリーを整えていく単語を整理することです。リスニングにおいては、聞いた長文の内容を覚えておくために、イメージでとらえていくことを意識していただきました。具体的にお伝えしたのは、登場人物の関係性や、単数複数形のイメージのとらえ方です。
「音声変化」については、リスニングで正確に聞き取れない可能性が高いところでしたので、音を耳でキャッチして単語として認識するためのトレーニングとしてディクテーション、それからオーバーラッピングというトレーニングを採用しました。むやみやたらにではなく、音声変化のルールを覚えたうえで、弱形を特に意識して、流れてくる音声に合わせて発音していただくという練習です
――コンサルティングのなかで、最も印象的だったことはなんでしょうか?
**S.Y.さん:**思ったより英語が全然できていないと思いました(苦笑)。英文を通しで聞いて、あとから内容を伝えるところで、一文も答えられなかったのは鮮明に覚えています。あとになって、石原さんが難しめの英文を選んでいたことを知ったのですけどね。TOEICですでに高い点数を取っているので、ちょっと見せつけてやろうかと思いましたが、見事にスベりました。悲しい第1回だったのは覚えています(苦笑)。
さらに、僕の音読を聞いたあとに石原さんが、「S.Y.さんならもっと速く音読して、ネイティブみたいなスピードにできる」とおっしゃったのは予想外でした。割と読むスピードには自信あったのに、「もっとスピードを上げられる」と言われたときは、びっくりしましたね。それを踏まえて、自信があると思っていた発音や英文を読むスピードなどを、どうやったらもっとうまくなるかという、すごくたくさんの伸びしろを教えていただきました。
無理に時間を捻出せずにスキマ時間のみを徹底活用
――日々の業務でお忙しいなか、S.Y.さんはどのように一日の学習時間を確保しましたか?
S.Y.さん:端的に言えばスキマ時間なんですけども、通勤しないといけないときは、電車に乗っているあいだなど。あるいは、お風呂に入っているあいだですね。石原さんに、英語のための時間をつくらなくてもいいと言っていただいたのが、英語の勉強にスムーズに入れるきっかけになりました。
英語学習でスキマ時間というのはよく言われると思うのですが、「英語は英語のための時間をつくる。スキマ時間は自由に使わせてもらう」というスタンスで、いままで僕は反対していました(笑)。ですが、無理に時間をつくらなくてもいいという石原さんの言葉で気持ちが楽になれたので、それで継続できた感じですね。
スキマ時間は、基本的に単語学習に充てていました。覚えるべき単語の数がすごく多かったので(笑)。語彙力がそこまでなかったので、単語に時間をかける必要がありました。ほかにも、日経新聞英語版(Nikkei Asia)の記事をリスニングできる**Webサービス「ENGLISH COMPANY MOBILE」**を使って練習していました。
――石原コンサルタントに伺います。S.Y.さんの学習を継続していただくために、どのようなサポートを行ないましたか?
**石原コンサルタント:**日本TCSさまの方針として、1日3時間の学習が目標という設定があったのですが、無理に学習時間をつくっていただくよりは、限られた時間のなかでもできるだけ効率よく効果を得ていただきたいと考えていました。そのために重視したのが、毎回のセッションで課したホームプログラム(宿題)がきちんとこなされているか、そして目に見える成果としてきちんと表れているかという部分です。セッションごとにしっかり成果を出していただけていたので、時間の捻出はある程度お任せしていましたね。
また、課題とトレーニングの対応関係をお伝えすることを心がけていたのですが、S.Y.さんはしっかり意識して取り組んでいただけたと思います。
――90日間のコンサルティングを経て、ご自身のお仕事に関してどのような変化がありましたか?
**S.Y.さん:**外国の人とコンタクトをとる機会が減ってしまったものの、仕事のどこかに英文は散らばっており、かつ自分で書く機会はありますね。そんなときに、90日間で石原さんから教えていただいたフレーズを使ってみようと思うようになりました。ビジネス英語は、限られた文章とか決まった文章で成立するものなのですが、表現の幅を広げるために違う表現を使ってみようという意識をもつようになりましたね。
英語を自主的に学ぶ輪が広がった
――90日間のコンサルティングで得た学びはどんなものでしたか?
**S.Y.さん:**800点とか900点弱といった点数をもっている人は、現状の英語力で渡り歩けてしまう状態だと思いますが、それだと伸びしろを見つけにくいというか、特に僕はそれでなんとかなるという気持ちがあったので、満足したり勉強をやめてしまったりするなど、さらに英語力を伸ばすために何をすればよいのかわからない状態になってしまうと思います。
しかし石原さんは、より高い英語力を獲得するまでの「あと一歩」がどこなのかをすぐ見つけてくださいました。「その一歩を踏み出すために、こういう勉強が必要です。なぜなら……」という説明を僕の納得いくようにしてくださり、あとは自分が言われたとおりやるだけで英語力が伸びるという環境を用意してもらったので、すごくいい90日間だったなと思います。
会社で用意してもらったプログラムの趣旨が、英語で外国人との会議をファシリテートできる能力をつけることなので、今後、外国の方と会議をするときに自分がファシリテートしてみたいと思っています。
――今度は大渕さんに伺います。STRAILを英語研修として採用したことの感想と、御社やS.Y.さんに見られるビジネス上の変化を教えてください。
**大渕さん:**広告通りにスコアが上がるというのは当初半信半疑な気持ちはありましたが、実際やってみると、多くの人が目標達成できるところまで上がったのは非常に驚きですね。達成できたのは、学び方を学んだのが一番大きいと思っています。3か月一緒に伴走していただいた結果、その後も自走できる力を供えることができたというのが一番効果が大きかったですし、最もメリットを感じたところです。
また、英語学習コミュニティが広がっており、英語を学ぼうという機運が会社に生まれたのもメリットですね。ラーニングカルチャーをつくることを弊社の経営陣が盛んに述べており、学ぶことを日常的に当たり前にするという文化をつくるところで、学習を楽しく前向きに続けている人たちの輪が広がっていると感じました。
S.Y.さんに関して言うと、外大出身でもともと英語力は高く、800点台もクリアできていました。しかし、英語に対して本人なりに課題を感じていたそうです。それで英語研修を受講して、英語力の課題分析とS.Y.さんにとって適切な指導方法をご指導いただきました。結果、900点台まで上がって、すごく自信がついたようです。
今後も、S.Y.さんのように、グローバルメンバーとの会議をリードできる人材をさらに増やしていきたいと思います。
――今回の英語研修を通じて、英語研修を検討しているほかの企業や、就職活動に励む人へ向けたメッセージがあればお願いします。
**大渕さん:**なんとなく英語力を高めたいというのはどこの会社にもあると思います。しかし、会議を英語だけでひとりで仕切れるレベルの人を増やそうとすると、膨大なレッスン時間と日々の英語学習が必要になります。ネイティブ講師の方を招いても、結局レッスンだけを提供するのでは非効率ですよね。
コンサルティングをしていないあいだもしっかり学習サポートをしてくれるSTRAILでは、必要な学習時間を効率よく消化させてくれるので、本当にありがたいです。会社にとって戦略となるグローバル人材を育てるのに、STRAILは非常に心強いパートナーだと思います。
弊社は勉強したいという意欲のある人には、チャンスを与えています。新入社員や中途社員にも英語力を高めて活躍してもらえるように投資をして支援していますので、勉強したい、キャリアを伸ばしたいという人に対しては、非常に良い環境です。本当の意味でグローバルな環境で働ける人材の育成を目指し、今後もS.Y.さんのような人材を継続して輩出していきたいと思います。