ーーこんにちは、今回は英語力大幅アップおめでとうございます。まずは、90日間お疲れ様でした。本日はよろしくお願いします。
**西林さん:**ありがとうございます。よろしくお願いします。
**辰巳トレーナー:**よろしくお願いします。
ーーTOEIC®で600点から850点というと、実感としてもかなり変化があると思います。素晴らしい成果ですね。
**西林さん:**以前と比較すると大きく変わったと思います。ただ就職活動のその後、実際にお仕事で英語を使うということを考えると、まだまだこれからブラッシュアップしていかなくてはならないと、改めて思います。
**辰巳トレーナー:**いつも真剣に取り組んでいただいていましたから、まだまだ英語力は伸ばせると思いますよ。
ーーそれでは早速ですが、西林さんがENGLISH COMPANYでトレーニングを開始された時の英語力について、辰巳トレーナーにお聞きしたいと思います。
**辰巳トレーナー:**英語力について、初めは2つの大きな問題がありました。一つは、リスニングにおいて大枠はつかめるけれど細かいことが全然入ってこないということ。もう一つは、リーディングで読むのにとても時間がかかってしまうということでした。
**西林さん:**そうですね。リスニングではどんなトピックの話なのか、「地図の話」とか「食べ物の話」ということはわかっても、内容はほとんどわからないという状態でした。
**辰巳トレーナー:**わたしたちトレーナーは、そのように目に見える現象、この場合なら「細かいことがつかめない」ということから、それを引き起こしている原因をトレーニング内での観察やヒアリングから探り当てて、その原因を一つ一つにアプローチしていきます。
ーーこの場合はどんなことが原因で、リスニングで細かい内容がわからなかったのでしょう。
**辰巳トレーナー:**西林さんは、文章の大きなトピックについてはキャッチできていました。でも、話の流れや、論理などはつかめませんでした。これは、「内容語」と呼ばれる名詞や動詞などの目立つ言葉は聞き取れていたけれど、「機能語」と呼ばれる助動詞や前置詞などは聞き取れていなかったからだと気づきました。
前置詞などの機能語は内容語に比べて、弱くあいまいに発音されてしまうことが多く、場合によっては前後の別の単語とくっついてしまうこともあります。そのせいで聞き取りにくいものです。一方で名詞や動詞などの内容語ははっきりと発音されますから、聞き取りやすいのです。 こうした、「英語の音そのものの聞き取り」に効果があるのは「ディクテーション」というトレーニングです。
ネイティブが英語を話す時には、私たち日本人が思っている「文字通り、スペル通りの発音」とは違う風に発音していることがたくさんあるのです。要するに省エネ的に話をするのですが、それを「音声変化」といいます。まずは、その音声変化について知識として学んでもらい、ディクテーション(英語を聞いて、それを正確に書き取るトレーニング)でそれを練習していきました。さらに無意識的に音声変化を処理できるように、シャドーイング(英語を聞きながら少し遅れて真似しながら読み上げるトレーニング)も音声変化をきちんと行っていただくようにしました。特に注意を向けなくてもできるようになることを、第二言語習得研究では「自動化(Automatization)」と言いますが、音声変化の処理を自動化することをシャドーイングを通して促したんです。
**西林さん:**課題の発見についても、それを解決する練習方法についてまったく知らないことばかりで、自分一人ではこれは無理だったと思います。シャドーイングやディクテーションが良いということは聞いたことがあっても、自分にいま何が必要なのかはわからないものですから。
ーーたしかにそうですね。勉強法を勉強するほど時間があるわけでもないし……。ちなみに、文を読むのが遅いというもう一つの課題にはどうアプローチしたのでしょう。
**西林さん:**読んでいるところを実際に横で見ていただいて、わたしが文を訳しながら読んでいることに気づいてもらったんです。
**辰巳さん:**視線が一方方向ではなくて、ちょっと進むと戻る、戻って止まるということを繰り返していたんです。「これは『返り読み』が起こっているな」と気がつきました。日本語と英語では文構造が大きく異なるので、訳しながら読むとどうしても視線が戻りますし、時間もかかってしまいますよね。
**西林さん:**一文きちんと訳さないと前に進めないような状態だったので、読むのが遅くなってしまっていました。
**辰巳さん:**英文を頭から戻ることなく読むために、「チャンク読み」といって英文を小さな意味のカタマリ(チャンク、chunk)に区切って、そのカタマリごとに処理していくというトレーニングを行いました。カタマリが小さくなってしまっても良いので、必ず前から前から解釈していくということを意識いただきました。
**西林さん:**初めてチャンク毎に文を読むというトレーニングを行って、やはり読むのがだんだん楽になって来るのを感じていました。
**辰巳さん:**1ヶ月を過ぎるくらいの頃には、まだひとつひとつのチャンクは小さかったものの、返り読み自体はなくなっていました。
ーーそれで読むのが早くなったのですか?
**辰巳さん:**以前よりはずいぶん早くなりました、ただ大学生なのでビジネスに関しての知識が乏しく、その点で内容をイメージしづらいということがあったんです。通常、文章を読むときには文中には書かれていないような背景知識(スキーマ)を利用して理解を深めたり、高速化したりするものですから、これはTOEIC®の問題などからビジネスに関連するものを集中的に扱うことで対応しました。
**西林さん:**ビジネスのことについても、おぼろげながら知識がついてきました(笑)
ーー二つの課題を解決できて、スコアが大きくあがったんですね。
**辰巳さん:**ENGLISH COMPANYは、TOEIC®対策の専門スクールではありません。英語力を総合的にあげて、その結果としてTOEIC®のスコアもアップするというのが基本です。ただ、西林さんの場合は、就職活動でしっかりとアピールできるスコアが必要だという事情もありましたから、その点にも対策を行いました。TOEIC®は2時間もぶっ続けで行われる試験で、集中力を維持するのもたいへんなんです。ですから、基礎的なスキルが身に付いたトレーニング期間の後半では、各トレーニングセッションの中で常に集中した状態を維持できるように、簡単な部分はスキップしスピードを上げるなど、負荷を高めたトレーニングを行っていきました。
**西林さん:**TOEIC®は受験するといつも眠くなっていたのですが、そんなことはなくなりましたね(笑) 集中力が大きく向上したと思います。
ーーアルバイトを3つかけもちしつつ、これだけの成果を出されたのはとてもすばらしいことだと思うのですが、その理由はなんだと思いますか?
**西林さん:**基本的には毎日1時間くらいしか確保できないことはお伝えしていたのですが、それも踏まえてスケジュールを組んでいただけました。それからやはり、必要なことに日々取り組めたことかと思います。無駄なことがありませんでした。
**辰巳さん:**勉強時間をたくさん取ることができれば、もちろんそれに越したことはありません。ただ、受講生の方の学習時間に頼る、「できるようになりたかったらたくさん勉強してください」というのは違うと思っているんです。それって、経営コンサルタントに「売上を上げたい」と相談したら「残業してください」と言われるのと同じです(笑) もちろんたくさん時間がとれればいいけれど、パーソナルトレーナーが行うべきことは生産性をあげることです。
見えている現象から課題を発見し、それを分解した上で解決法を提案して、その方法に注力していただくんです。シャドーイングにしてもディクテーションにしても、その他さまざまなトレーニングメソッドにしても、必要なタイミングで必要なレベルの教材を使って行う必要があります。
ーー適切なトレーニングに適切なタイミングで行うことで、取り組むことで無駄をそぎ落とすんですね。
**西林さん:**ほんとうに無駄がなかったと思います。英単語帳も3冊やり終えました。
ーーそれでは最後に。就職活動にむけて、英語学習に取り組みたいと思われている学生さんもたくさんいらっしゃると思います。なにかメッセージをお願いします。
**西林さん:**就職活動のことを考えたときに、「自分には強みがない」と思っていました。部活動やサークル活動をしていたわけでもありませんでしたし、なにか目立った実績を持っていたわけでもありませんでした。自信がなかったんです。 でも、以前大学の講義で紹介された外資系の企業などにも憧れがあって、英語を集中して勉強しようと思いました。それに、何かに集中して取り組む、そしてその目標を達成するという経験や達成そのものが、わたしの就職活動やその先の人生を支えてくれるのではないかと思ったんです。必要なのは思い切って始めることだけでした。ほんとうに、あの時決心して良かったと感じています。
**辰巳さん:**お忙しい中、西林さんは真摯に取り組んでいただきました。お疲れ様でした。これからも応援しています。 これから英語を学ぼうと思われているみなさんも、思い切って始めていただければ、方法はわたしたちがご用意します。ぜひ一歩踏み出してみてください。